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「環境雑感」
本コラムは、ウエストグリーンネット事務局長の中河原様に環境省策定エコアクション21の普及啓発に御協力頂いていることもあり、執筆をお受けした次第ですが、実際に書くとなると何をテーマにしようかと考えました。 携わっている仕事の関係をテーマにすることも考えたのですが、現在の環境の仕事に携わりながら、自己の行動と理念との自家撞着を感じることがままあるので、環境について思っていること等雑感を思いつくままに記述することとしました。 |
以前は、環境と言えば身の回りの環境であり、自然環境でした。ゴミ問題にしてもそういう捉え方でした。もっとも趣味の一つが山登りなので、自然環境には大いに興味があります。
現在は省エネ行動に心がけています。5階くらいまでは階段を使い、手動と自動のドアがあれば手動を選ぶ。エネルギー資源が「もったいない」という思いと、私達の世代が使い切っていいのかという思いがあります。
同じ理由で、大量生産・大量消費型の社会にも疑問を抱き、物は使える間は使うことを心がけています。
こう書くと、環境にやさしい生活をしているようですが、実際はそうではありません。
週末になると毎週のように趣味で車を往復300キロ走らせます。燃費は15〜16km/Lで、ガスイーターではありませんが、少々の省エネ行動は吹っ飛んでしまいます。それからこの夏も、ほとんど毎晩エアコンは入れっぱなしでした。
環境の仕事に携わり、環境問題について考えると、今のままの社会は続かない。このままではそう遠くない将来、深刻な危機を迎える。そのためには個々の人も省資源・省エネ型の生活行動を取らなければならない。と、ここまでは認識するのですが、そこで先程書いた自家撞着におちてしまう訳です。
本当に環境のことを考えるなら、観念的な省エネ行動よりも、実際のエネルギー消費量の多い車を控えるべきです。けれども、自分の趣味を代えてまで、また快適性を犠牲にしてまで省エネ行動をとることはしていません。社会システムが変わった中での変更は可能なのでしょうが、そうでない中でライフスタイルだけ変えることは難しいものがあります。
要は心、価値観の問題なのでしょう。エネルギーを大量に消費することなく心が満たされるような価値観を持てばよいのでしょう。けれども、心変わりということは世の中にままあることでしょうが、価値観まで含めた心を変えるのは、非常に厳しいような気がします。
自家撞着は私だけではなく社会もそうではないでしょうか。
テレビひとつをとっても、限りある資源、地球温暖化問題のためには省エネ行動が求められるのに、趨勢はより使用電力の多い大画面ハイビジョンに向い、デジタル化では、アナログ放送終了で大量の廃棄物発生が予想されます。地球環境面でみれば、望ましい方向と進んでいる方向の乖離の例は枚挙に暇がないことでしょう。
普通、というより従来システムではというべきなのでしょうか、経済活動が盛んになればそれだけエネルギーと資源を消費し、環境負荷を増大させます。
人類は限りない発展を求めます。こうなると経済を発展させながら環境負荷を軽減する道を探らなければなりません。「環境と経済の両立」が求められるわけです。
そこで環境技術の開発と社会システムの変革が求められますが、環境技術の開発と社会システムの変革で対応可能な範囲の経済発展であれば問題はないでしょう。
だだ、現在は環境負荷の少ない生活をしている途上国の人々も、先進国の人々と同レベルの生活をする権利があると考えるのは当然です。先進国の人々も今の生活レベルを落としたくはないし、更なる向上すら求めます。
そういう世の中の全ての人達の要求を満たすほど、技術の開発と社会システムの変革はスムーズに行われるのでしょうか。或いは技術の開発と社会システムの変革によって環境負荷の増大を押さえられる範囲内に人々の要求は収まるのでしょうか。
地球環境問題が深刻化し、その対応策が充分見えない中でも生活レベルの改善要求そのものは押さえられていないのが現状だと思います。私自身の処でも触れましたが、心、価値観の問題なのでしょう。
もっとも、心の問題だからこそ、現状で、個々の人の心の変革に期待していても、皆が変わるという担保もなく、個々にも何ら見返りのない中、ただ将来に対する危機感のみで、世の中の人々の心、価値観が変わることは容易なこととは思えません。
究極的には世の中の人々が環境重視の新しいかたちの豊かさを求めるライフスタイルが望まれるのでしょう。
ただ、当面現在の地球環境問題に対応するには、新エネルギー・省エネルギーの技術革新と、やはり、社会経済システムそのものの省エネルギー・省資源型への変革が求められるのでしょう。
そして、世の中で環境の価値が積極的に評価される仕組み作りをする。そうした社会の動きの中で人々の価値観も変わっていくことでしょう。
ではそのような社会はどうしたら実現可能か。それは個々の取組ではどうにもならないところがあり、各分野が連携して、知恵を出し合い解決策・対応策を見い出すことが必要なのではないでしょうか。
私自身のように、果たして対応でき得るものかどうかを考えても詮無いことで、今可能なこと、考えられることを積み重ねて行くしかないのかと、今はそのように考えています。
危機が一層迫る中で、対応策は未だ見いだされていません。ただ、地球温暖化問題に関して言えば、世界はその解決に向けて足踏みすることなく動いています。昨年末カナダのモントリオールで開催された会合でも、全ての国が参加する実効ある将来の枠組みの構築に向けた道筋をつけるものとなりました。
国内でもこれから、温室効果ガス1990年比6パーセント削減という当面の目標がありますが、地球環境のことを考えればそれ以上の対策が求められる訳で、各分野が連携して、早急に持続可能な社会経済システムを構築する必要があります。
経済活動の主要な部分を担われる事業者の環境への取組は非常に重要な訳で、ウエストグリーンネットのようなネットワークがあちこちにでき、それに参加の事業者の方が、ネットの機能を活かして、持続可能な社会のためのシステム構築をされることが重要なのだと考えます。
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環境省中国四国地方環境事務所 広島事務所 調査官 片岡 和則 |
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