ウエストグリーンネット(WGN)は、循環型社会構築へ貢献する事業者等のネットワーク。

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「新しい年の初めに」

 皆様、新しい年を清々しい気持ちでお迎えのことと思います。年頭に当たり新しい年に対して様々な希望や願いを寄せられたのではないかと思います。今年もまた色々新しい出来事や出会いが待っていることでしょうが、将来を考えるためには、先ずこれまでのことを思い出してみることもよいのではないかと考え、50年、100年、150年前の歴史を振り返ってみようと思います。

 150年前の1857年(安政4年)は、3年前に調印された日米和親条約の批准書が交換され、前年に来日したハリスが翌58年の日米修好通商条約締結に向けての動きを加速させた年です。日蘭、日露の追加条約が結ばれ通商関係が広がるのに対応して、幕府は蕃書調所を開設、また築地講武所に軍艦教授所を設置し、海外との関係が深まるのに文武両面での対応を急ぎます。長崎では司馬遼太郎の小説『胡蝶の夢』に描かれたポンペによる松本良順への西洋医学の講義が始まっています。目を海外に転じると、インドではセポイの乱が起こり、デリーを英国軍に占領されたムガール帝国が滅亡。パスツールがアルコール発酵、乳酸発酵を発見したのもこの年です。

100年前の1907年(明治40年)は、日露戦争のあと西園寺内閣の下で大陸への進出と工業化が進みます。日清紡績、旭硝子、日本製鋼所、豊田式織機などの会社が設立され(ということはこれらの会社は創立100周年!)、電力の高圧遠距離送電が始まっています(東京電燈が山梨の駒橋水力発電所から東京へ5万5000ボルトで80kmの送電)。ただし、この年の電球生産はようやく百万個の大台(105万8千個)に乗ったばかりです。スポーツの世界では、初の海外野球チーム(ハワイのセントルイス野球団)が来日して慶応と対戦、初めて野球入場料が徴収されました。ニュージーランドが英国の自治領になったのもこの年です。

50年前の1957年(昭和32年)は、石橋内閣から岸内閣へ交代し、経済の高度成長の前の時代で、国内インフラ整備と産業振興の法律が次々に制定されています。合成ゴム製造事業特別措置法、電子工業振興臨時措置法、国土開発縦貫自動車道建設法、高速自動車国道法などですが、インフラとしての電力関係では原子炉導入が原子力委員会で議論され英国からの動力炉の早期輸入を決定、原子力研究所ではJRR-1原子炉に火がともりました。
原子力平和利用の動きの一方で、東西の緊張が続き英国もクリスマス島で水爆実験を始める中、核兵器開発反対の科学者たちの動きがパグウォッシュ会議の宣言などになっています。国内ではNHKのFM放送が始まり、カラーテレビ実験局(NHKと日本テレビ)が開設され、糸川博士らによりカッパーC型ロケットが秋田海岸で発射成功。海外ではソ連のスプートニク1号が初の人工衛星として地球を回り始めました(米国のエクスプローラー1号は翌年1月)。EEC(欧州経済共同市場)とユーラトム(原子力共同体)の両条約が仏・西独・伊・ベネルクス3国で調印され、翌年1月から発足しています。今年はEUの化学物質管理の新しい制度であるREACHがスタートしますが、欧州統合の歴史がEECの形で動き出してから丁度50年目になります。現在の日本は戦後最長の景気拡大とのことですが、1957年の日本の経済成長率は、下期からなべ底不況といいながらも、名目15.1%、実質9.9%でした。

そして2007年、今年は一体どのような年になるのでしょうか。マクロの景気は緩やかな拡大基調を続けるのでしょうが、ミクロの動きでは、あらゆる側面でイノベーションを引き続き進めることの可否が、良い成果を上げられるかどうかに大きく関わってくるのではないでしょうか。
京都議定書の第1約束期間がスタートする2008年も目前に迫り、地球温暖化対策の議論も大いに熱を帯びたものになっていくことでしょう。現在進められている温暖化対策のレビューは産業構造審議会と中央環境審議会により既にスタートしていますが、業務部門や民生部門ではエネルギー起源のCO2排出量が基準年に比べて約40%も増加しており、対策の強化が検討されることでしょう。両審議会での検討結果の中間とりまとめは、この6月に行われる予定です。国際的には、日本が実際のエネルギー消費を削減する省エネ技術開発やその技術移転に力を入れアジア太平洋諸国との連携強化に乗り出しているのに対して、英国を中心とするEU諸国は、排出権取引の拡大により温暖化対策と同時に国際ビジネスとしての排出権取引確立を目指しており、英国政府特別顧問で元世界銀行チーフエコノミストのスターン卿による気候変動と経済に関する報告書(スターン・レビュー)を先頭に米国や中国等へのアプローチを進めています。また、今年の先進国経済サミットはドイツで開かれますが、来年2008年は日本でのサミット開催となり、来年に向けては環境がますます大きなテーマとなっていくことと予想されます。単なる言葉やイメージではなく、しっかりした科学的評価と長期の展望に基づいた環境への対応を考え、実行する時期にきています。

新年が皆様にも明るい展望に満ちた良い年となりますよう、心からお祈りいたします。




塩ビ工業・環境協会専務理事 西出 徹雄


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