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「容器包装リサイクル法の改正とプラスチックリサイクル」

 容器包装リサイクル法は本年6月に法律改正が国会で承認され、夏休み明けにこれに対応した政省令改正のための審議が産業構造審議会と中央環境審議会が行われ、11月上旬までパブリックコメントが行われたところです。

さて、今回の見直しに当たっての論点ですが、主に@排出削減の一層の推進、A役割分担・費用分担の見直し、B再商品化手法の拡大、の3点でした。@についてはレジ袋の有料化やリターナブルの推進が検討され、Aについては行政、事業者、消費者各主体間での連携強化が必要とされ、再商品化費用が効率化された分について、その利益を事業者と自治体で折半して還元する仕組みが平成20年度から導入されることになりました。Bについては従来の手法に加えて、補完的な手法としてサーマル・リサイクル(エネルギー回収)手法である固形燃料等が導入されることとなりました。また、義務者であるにもかかわらず費用負担をしていないただ乗り事業者への罰則強化やPETボトルの対象の拡大などが行われます。

プラスチック容器包装に着目して今回の法律改正を見ると、分別収集されたプラスチック廃棄物が中国等へ輸出される動きが拡大してリサイクルに回らなくなり、特にPETボトルでは国内でのリサイクル施設が稼働できないほど深刻な状況となっています。リサイクルのための国内のインフラが崩壊すれば取り返しのつかない事態となるため、自治体が収集した廃棄物を国内のリサイクル・ルートに乗せるよう要請することとなりました。

今回の議論を通じて明らかになったもう一つの問題点は、PETボトル以外の「その他プラスチック」廃棄物の再商品化費用が平成16年度には352億円だったものがその後もかなりのペースで増加する見通し(平成18年度には600億円を超えるという推計もあります)である一方、その中身を見ると材料リサイクルといいながらリサイクル不能な廃棄物が残渣物として約50%にも達している点です。材料リサイクル優先で入札を行うと再商品化のコストが高くなると同時に再商品化比率がどんどん下がるという実態は、廃棄物の有効利用を進め最終処分量を減らすという制度の目的に反するものです。このため、形式的な材料リサイクル優先の方向が見直されそうになってきました。

容器包装リサイクル法が制定されたのは1995年ですが、今回の一連の流れを見ていますと、法律制定後に状況が変化していく中で、そろそろ形だけでなく、真に意味のあるリサイクルとは何かを考える時期に来ていることを示しているようです。これは日本だけにとどまらず、欧州でも埋立て禁止に絡めてこの辺りの議論が進みそうな気配です。

形式的なマテリアル・リサイクル→フィードストック・リサイクル→サーマル・リサイクルという単純な優先順序ではなく、収集された廃棄物の性状と環境負荷、処理コストのバランスを考えた最適化を考えようとする方向へ向かう動きともいえるでしょう。処理コストを考慮するというと、安易な形での処理に流れてしまうという批判の声がすぐに聞こえてきますが、コストが高いということは処理に要するエネルギーやプラントの費用が高いことを意味するわけで、これらは環境負荷の高さを意味していることでもあります。つまり環境負荷をトータルとして最小化しようとするならば、リサイクルによる資源有効利用による便益と、コストの形で現れる処理のための環境負荷とのバランスを考えないわけにはいきません。いよいよ適切なリサイクル手法の選択が大変重要になってきました。

なお、今回の見直しに関連して(社)プラスチック処理促進協会では「その他プラスチック」のリサイクル手法についてエコ効率の比較分析をしていますが、ガス化、廃プラ発電と並んで、RPFやセメント原燃料化が相対的に望ましいことを結論づけています。

関連URL http://www2.pwmi.or.jp/siryo/report/tech/tech46.htm




塩ビ工業・環境協会専務理事 西出 徹雄


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